一般的な冬イチゴといろいろ比較してみます。
まず収量。イチゴ狩りなどの観光は別として、出荷している農家さんで10a辺り3t~7tくらい?平均して5t/10aとして、
夏秋採りイチゴは2t~4tくらいで、平均3t/10aといったところでしょうか。6t超えなんて神様みたいな方もいらっしゃいますが。
つまり大体冬イチゴの半分強といったところと思っています。
次に価格。売り先・売り方によってこれも大きく変わると思いますが、冬イチゴは概ね1000円強/10aぐらいでしょうか。
一方夏イチゴは2000円弱/10aといったところです。これらは一般的な市場価格よりも安めに感じますが、規格外や冷凍処理するようなものも含めての価格です。
ちなみに自慢ではないですが、当園では2000円は超えてます。
まとめると、夏イチゴは冬イチゴに比べ、収量は6割ほどで価格は倍まではいかないかなといったところです。
次に経費的な部分。収量が多ければ当然、選果・パック詰等の作業時間はかかります。資材もかかります。あと冬イチゴで大きな問題が暖房費。加温機の燃料代これが結構かかるはずです。
夏イチゴでは基本不要です。加温機を使うところは少ないと思います。
施設的な面では、高設栽培であればベンチの構造・価格には大差ないと思いますが、冬イチゴで自家採苗する場合は育苗ハウスが必要になります。
一方夏イチゴでは自家採苗・増殖が許可されている品種でも、多くの場合、実採りの株から秋に発生するランナーを挿して次年度用の苗とします。
その苗を来年の春まで育苗するベンチは必要ですが、苗取り用の親株を植えてそこからランナー苗を取る冬イチゴに比べれば少ないスペースで済みます。
ただし夏イチゴは、自家増殖の認められていない品種もあり、その場合全株数を毎年買う必要があります。このコストがキツイ。
これらを総合的に比較すると、当然人によって意見は分かれると思いますが、私は夏イチゴには大きな可能性を感じます。
夏イチゴは冬イチゴにくらべれば、全国の生産量はおそらく2%程度だというデータを最近見ました。しかし当然、夏場にもイチゴの需要は多いのです。
栽培技術的にも冬イチゴよりまだまだ研究・改良の余地があります。平均収穫量はまだまだ上がっていくと思います。
一方、基本的に夏季冷涼な場所でしかできず、温暖化の影響もあり、猛暑や長梅雨の年ではその影響を大きく受けます。寒いのは暖房焚けば済むけれど、暑いのはどうにもなりません。