イチゴ株抜き器「グリグリ」について

本年度も販売をしておりますイチゴ株抜き器「グリグリ」。今年は想像以上に注文をいただき、作っても作っても在庫に余裕ができない状態です。

完全な手作り(溶接作業のみ外部に依頼しています)なため、結構な時間がかかるのと、常に部材が入手できるとは限らないことなどからなかなか生産は不安定ですが、使っていただいたイチゴ農家さんからお褒めの言葉をいただくとやる気が出ます。今年は昨年購入していただいたお客様から追加でご注文をいただくこともありましたし、九州の方のイチゴ部会様で口コミで広がり、多くの注文もいただいています。

ただ、じゃあ買っていただいた全ての方が100%満足しているのかと聞かれれば、たぶんそんなことはないと思います。ほとんどの方はYoutubeの動画を見て気に入って注文してくれると思うのですが、思ってたのと違うと思われる、想定されることを考えてみます。

まず、正しい工具に使っていないこと。動画でも説明していますが、「電動ドリルドライバー」が必要です。多くは充電式で、機能的な特徴として、低速・高速の切り替えスイッチがあります。

ところが、いわゆる「電気ドリル」を使おうとする方がいらっしゃいます。これは多くは充電式ではなく100V式なんですが、100Vの方がパワーもあるだろう、トリガーをゆっくり引けばゆっくり回転もするから同じだろうと思い込み、実際使おうとするとまったくのトルク(パワー)不足で、株を抜き取るどころか全く回転しないということが起こります。電動ドリルドライバーの低速モードは回転速度はゆっくりですが、その分大きなトルクを発生するように作られているのです。

また同じ様に間違った工具として「インパクトドライバー」を使おうとする方がいらっしゃいます。インパクトドライバーは打撃を与えながら回転させますので、実は「グリグリ」で株を抜き取ることは可能です。ただ構造上、十分なパワーを出すためにトリガーを大きく引くと、培土に挿したグリグリが回転した瞬間に培土が飛び散るので作業性が悪いです。また非常にパワーのあるインパクトドライバーの場合、そのパワーで「グリグリ」の六角取付軸が破損することがあります。以上の理由からやはりインパクトドライバーもおすすめしておりません。ただ、六角取付軸は交換が可能です。

ちなみに「ドリルドライバー」のパワーの強さはトルクという値で示されます。動画でも使用しておりますブラックアンドデッカー製 BDCDD186 の場合、40N・m となっており、このくらいのトルクがちょうどいいと感じています。それでも硬い培土や根張りが強く大型の株の場合にはパワー不足を感じることもありますが、かといっていわゆるプロ用のドリルドライバーはその数倍ある凄いものもありますが、仮にそのパワーだと抜ける株があったとして、その時は「グリグリ」の爪が曲がってしまうと思います。そもそもパワーが強すぎるとドリルドライバーを押さえる作業者の手を負傷する可能性もあります。BDCDD186をおすすめする理由はもうひとつ、バッテリーの容量が小さく軽いため、作業者の腕の負担が少ないのです。

そう、あまり良くないと思われる理由のもうひとつとして、ドリルドライバー自体の重量がそこそこあるため、個人差は大きいですがこれはこれで疲れるというものです。確かに一株づつ「グリグリ」を使って根を切り、ドリルドライバーを片手で持ち、反対の手で株を取り除く、といった普通に想定されるやり方だと確かに手が疲れるのです。ですがこれはやり方次第で改善できます。「グリグリ」を挿し回転させるときは両手でドリルドライバーを抑えますが、株があるていど離れた時点でわざわざそれを取り除かず、ドリルドライバーは両手で持ったまま一列終わらせてしまうのです。その後、手か短い鋸鎌でももって株を回収すれば大変楽です。二人以上で分担してもいいと思います。

BDCDD186を使ってもまったく「グリグリ」が回転しないほどの根張りの強い大型の株、また分けつが激しく「グリグリ」の三本の爪の間隔より大きくて挿せない、というご意見はよく聞きます。特に乾燥気味の硬い培土に大型の株の場合は特に難しいと感じると思います。ですがこれらの解決方法は同じで、なにも一発で抜こうとしなくてよいのです。簡単に抜けなそうな株に対しては、いきなりクラウンをまたぐように「グリグリ」を刺すのではなく、すぐその周辺に挿して軽く回転させて培土をほぐしつつ、根の一部を切ってしまえばよいのです。分けつの激しい株は何回かに分けて抜けばよいのです。

タイトルとURLをコピーしました